同期会通信

『東京は静かです』

 那覇高16期  花井玲子昨年10月1日付けで練馬区から住民票を移動して宜野湾市民になりました。「沖縄本宅」ということになると、さしずめ「東京別宅」か「別荘」とでも呼ぶので しょうか。ブラックユーモアを込めて別荘とします。静けさも緑の豊かさも宜野湾より練馬のほうがはるかに勝っているのですから。
宜野湾市の中心部は、米軍基地返還交渉の真っ只中にある普天間基地に大きく占領されています。私の住む志真志の公務員住宅から、同じ宜野湾市内の国道58号線に出るため には、市の中心部に広く長く横たわるこの海兵隊普天間飛行場を大きく迂回しなければなりません。横切ればおそらく数分しかかからないところなのに2、30 分はかかります。これまで那覇周辺にしか馴染みがなく、車で移動する機会は少なかったのでこの不便さを初めて実感しました。基地を横目に遠回りさせられる 度に腹立たしい思いをしています。米軍ヘリコプターの騒音もニュースで取り上げられていたので予測はしていましたが、実際の音量は想像を超えるものでし た。飛行は夜遅い時間まで続いていて、電話やテレビの音が聞こえなくなるのは日常茶飯事です。墜落現場はすぐ近くです。
「日本国土の一割にも満 たない(6%!)沖縄県に、日本全体の米軍基地の75%が」という数字に感じていた怒りは不十分で観念的だったと反省しています。生活の場で実感してみる と、このパーセンテージはえぐるような重さで心にのしかかってきます。自分の目で見て、触って、確かめて、経験してからしか共有の糸口を掴めない、という 自らの理解能力の低さを痛感しています。
宜野湾市における米軍基地の割合が32.5%もあるということは、「沖縄の米軍及び自衛隊基地統計資料集 2005年版」で分かりました。恐怖感を覚えるこの数字でさえ沖縄県市町村の中では9番目でしかないです。
第 一番目の嘉手納町は、何と82.6%が米軍基地です。住民にはわずか17.4%しか残されていないという現実は、嘉手納ロータリーで基地の端っこに張り付くように建っている町役場が象徴的に示しています。金武町59.3%、北谷町53.5%、宜野座村50.7%、読谷村44.6%、東村41.5%、沖縄市 35.9%、伊江村35.2%、宜野湾市と続きます。市町村単位で具体的に数字を追ってみて、窮屈な実情を身近に引き寄せることができました。練馬区の 32.5%を米軍基地にしてみたいものです。
「東京は静かです」ではなく「沖縄は静かです」と言いたいです。

 

那覇高16期  花井玲子

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