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同窓会報 第三号『セピア色に残された17歳』 那覇高19期 勝方 恵子

城岳同窓会会報 第三号


セピア色に残された17歳

那覇高19期 勝方 恵子

 「荷づくりをしていたら、あなたの写真が出てきたので送りましょう」。沖縄を離れて鎌倉に隠遁することにしたからと、敬愛する恩師からの手紙だった。セピア色の写真に現れた17歳の私に遭遇して、那覇高時代の思い出が堰を切った。
もうすぐ55歳になろうとする今、17歳の頃を振りかえることは、なんともおもはゆい。ジョーン・バエズの反戦フォークに共感しながらも、「60年代」 にコミットできず、放課後は「かどや」でゴシップに興じていた。自分の中の「女」を否定しながらも、校庭でのフォークダンス会にパートナーを申し込まれた 時は、ハリウッドのヒロイン気取りだった。
新報やタイムスの模擬試験で成績上位者が写真報道されるたびに、人間は偏差値じゃないとうそぶきながらも、たまたま自分の名前を見つけると有頂天になっ た。命取りにならない程度に手首を切って、国際通りを彷徨するバカもした。世間を疎んじることが、世間への通過儀礼だった。私なりの稚拙な「理由亡き反 抗」を、あの先生方やあの校舎やあの町並みが、太っ腹に受け止めてくれた。
「先生、写真ありがとうございました。おかげさまで元気にしています」。

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